はてなを退職します

はてなを退職することにしました。本日、2013年5月16日が最終出社日でした。2013年5月末まで在籍して、1ヶ月お休みをいただいてから、2013年7月1日から新しい勤務先で仕事をする予定です。

はてなに在籍した2年9ヶ月間、編集部門の立ち上げをはじめ、ディレクション、プロデュースなどなど、さまざまな仕事をしました。同僚さんや、部下さんの優秀さに驚きながら、たくさんの仕事を、楽しくすることができました。ありがとうございました。

はてなをご利用いただいたユーザーの皆様、はてなのコンテンツを楽しんでいただいた皆様、取引先各位に、深くお礼申し上げます。私がはてなでした仕事が、皆様のなにかを少しでも快適にしたのであれば、とてもうれしく思います。これからも、はてなをご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

4年ぶんか5年ぶん

2010年9月に、はてなに入るとき、私は「今日から縁の下に潜り込む」と書きました。そう書いたとおり、地味な仕事、けっこうたくさんやったように思います。私は仕事を「しなきゃいけないこと」「したほうがよいこと」「したいこと」の3つに分類して進めます。ざっくり体感値ですが、前2つで85%くらいをやりました。

元編集者ということもあって、このような裏方仕事はわりと好きです。好きなのでよく働きました。私のキャリアの中でトップ3に入る程度には、よく働いた2年ちょっとだったと自己評価しています。4年か5年ぶんくらいは働いた気がします……。

「したほうがよいこと」の仕事の一つ、はてなで私が立ち上げた、編集部門は、優秀なスタッフのおかげで、とてもよく機能しているように見えます。みな楽しそうに仕事をしていますし、成果も着実に出し続けていてくれます。引き続き、楽しく、よい仕事を続けていってほしいなと思います。残るみなさま、一緒に仕事できてとても幸運に思います。ありがとうございました。今後もよろしくね。

よい成果もありますし、惜しかった成果もありました。そう大きくはないですが、一生覚えていられそうな仕事もできました。加えて、よい発見もありました。例えば、出版社ではない会社でもちゃんと働ける自分を確認できたことや、前職で記事のために身につけたプログラミングやITの知識が、実務でもよく機能することを確信できたことなどです。幸せに思います。

150の理由

はてなを退職したほうがよい理由は、ざっと数えてみると150くらいあります。例えばその1つは、両親が暮らす場所から遠い京都で仕事を続けることです。一方、はてなで仕事を続けたほうがよい理由も、ざっと数えてみると150くらいありました。例えば、ほんとうにWebをよく知る人たちと、素早く楽しい仕事ができることです。

これらの理由の重み付けだけでは判断が悩ましい状態でした。さらにちょっと正直に書いてしまうと、2012年の秋頃、ある会社さんからお誘いをいただいたりしました。そこで、ほかの会社さんも調べつつ、同時に、世の中と未来をよく見つめ、うんうんと考えました。結局170社くらい調べたように思います。

すると、ぼくを必要としてくれて、かつ面白そうな仕事をする機会に出会えました。私は常々、人材の流動性はもっとあがったほうがいいと思っています。そこで、若干感情に反する判断ではありますが、2013年のここで仕事を変えることにしました。

ぼくにとっては、また挑戦です。はてなも挑戦を続けるでしょう。どちらも成功する可能性があると思っています。

40歳

先日、40歳になりました。人生長いような短いような不思議な気持ちです。折り返し点かなという感じはしています。

次は、ちょっとメディア業から離れて、でもコミュニケーションの根幹にやっぱり近い仕事をすることにしました。とても面白そうな仕事です。例によって期待と不安が半分ずつで、少しだけ期待が上回っています。半分ベテランで、半分新入社員のような、そんな気持ちです。転職も2度目だと大変さの想像がいくらかつくので少しは安心しています。いやでもきっと大変なんですよね……。

引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。気楽な意見交換も、これまで同様にやりとりさせていただければ幸いです。

あ、はてなを退職しても、もちろんはてなユーザーです。最近は、はてなブログで写真ブログを楽しんでいます。もしよろしければアクセスしてください。

はてなに入って1年が経ちました

はてなに入社してから1年が経ちました。ずいぶん遠い昔のような、そうはいっても早かったような、ちょっと不思議な気分です。

京都にはだいぶ慣れました。やたら気合いの入ったお祭りや、法雨*1などに驚いたことがありましたが、慣れれば意外と対応できます。野菜、とくに夏野菜のおいしさにはビビりました*2。もちろん東京のほうが快適なところ*3もありますが、東京が不快に感じるところ*4も多々あります。トータルではどっこいどっこいでしょうか。

信じられないほどすばらしいところと、したほうがいいこと

はてなという会社の印象は、入ってすぐのころと今で、あまり変わりありません。ひと言でまとめると以下です。

ブログなのでもうちょっと詳しく書いてみます。すばらしいところはWeb感と開発力です。Webのいいところや、あるWebサービスのいいところやわるいところが、驚くほど少ない説明で、一瞬で伝わります。スタッフはみんなWeb大好きで、Webに対する感性もみな鋭いです。いろいろなコミュニケーションが全力で、短い時間でできます。こういう議論で遠慮がいらない人たちと仕事できるってのは、本当にうれしいことです。

一方で、しなきゃいけないことやしたほうがいいこともたくさんありました。いまは順番にやっているところです(詳細は省かせてください)。これらは、この1年でずいぶんよくなったように思いますし、まだまだよくなると思ってます。かつての1年よりもうまくいったら、自分の読みがある程度あたっていたってことになるでしょう。そうだといいんだけどなあ。

あ、「無限に仕事が」って部分はあんまり変わっていません。ほんと無限にありますよね……仕事……。

いまの私の仕事たち

はてなでの私の仕事は、編集者だったり発行人だったり、さてはプロマネやディレクター、プランナ、相談相手などいろいろです。紙を1冊まるまるやることがなくなったので、昔にくらべるとタスクの細切れ度がかなり上がりました。1週間前のできごとが遠い昔に感じることがよくあります。その日の朝のできごとが同じ日に思えないこともあります。

編集者としての職歴は、かなり生きていると思います。編集者が常に考えることは、よいコンテンツを生み出す環境を整え、いい感じに流通させることです。この考え方は、思っていたよりも応用力がありそうです。もちろんWebならではの難しさはありますし、ネットワーク外部性による想像のしにくさもあります。見切って思い通りに動いたというよりは、まだまだ学んでいる最中で、予想の範囲を超えることのほうが多いです。

おそらく何年かかけて「だいたいこんな感じ〜」というような感覚を手に入れていくものだと思います。そんな感覚を指先に感じながら、めいっぱいバットを振って当てに行くような仕事ができるといいなあ……と思いながら日々すごしています。Webの場合は、打率が低いかわりに、芯を食って当たったときの飛距離はやたらでかそうです。

やっぱり会社は船みたいなもの

前職を辞めるとき、会社を船にたとえました。

はてなという船は、前にのっていた船よりもだいぶ小さいです。嵐の中では転覆するかもと思います。一方、舵は機敏に効きますし、馬力もけっこうあります。日本語のメディアの海は去年も今も大嵐ですが、いま乗っているこの船は、うまく安定しつつ、いくらかいい感じに走り出したように感じています。みんなそうだと思いますが、視程はあんまりよい感じはしません。進路があってるといいなあと思います。

船員さんたる、はてなスタッフも増えました。例えば編集職では2011年3月、id:minesweeper96こと岑さんを、はてなに迎えました。岑さんは、私よりも素早いスピードでこの船になじみ、今日も活躍しています。岑さんに私が「楽しめてる?」って聞くと「楽しい」といってくれています。とりあえずよかったなあとほっとしながらも、この先の海をどう切り開くかを、一緒にけんめいに考え続けています。岑さんこれからもよろしくね。

船長さんや周りの船員さんとの関係はよいです。この1年してきたように、目の前や先の海と、船の中をよく見て、よいと思うことをやり続けます。

【宣伝】はてなは求人中です

最後に少し宣伝です。

はてなは、ほぼ全職種で人材を募集しています。ご興味があるかたは、はてなの求人情報のページをご覧ください。

編集職では、社員、アルバイトとも、東京での採用をはじめました。ご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご応募をご検討ください。ご応募にあたって、なにか知りたい、聞いてみたいということがありましたら、Twitterの @shigeaki_yazaki や、Gmailの shigeaki.yazaki あたりまでお気軽にお問い合わせさせていただければ幸いです。



あ、京都の観光地、だいぶ覚えました。東京の友人のみなさん、京都にいらっしゃるさいはぜひお声がけください!

*1:朝に「ほー」とやたらいい声で歩くお坊さんがいらっしゃる

*2:ナスやばいナス

*3:ニルワナムやルソイみたいなカレー屋さんとか

*4:こないだ東京出張したら空気悪くてビビりました。あと渋滞やばいっす

株式会社はてなに入社しました

2010年9月1日、id:ShigeakiYazakiこと矢崎茂明は、株式会社はてなに入社しました。

勤務地は京都です。4日ほど前に、東京都品川区からこの京都へ引っ越しました。住む場所や通う場所で、東京と神奈川から出たことがない私には、かなり慣れない環境です。いまのところは、旅行気分でそのギャップを楽しんでいます。

仕事は編集

はてなでの職種は編集です。これまでと同様に、編集者として仕事をします。CGMだったら編集権ないよねって、まあそれはそうです。そうですけれども、編集者の仕事は、ちゃんとあると考えています。私が考える編集者の仕事とは、一言でいえば表現活動における「裏方」です。表現したいと考えるだれかに対して、快適な表現の機会を提供します。読者さんや閲覧者さんによく伝わる何かを創るために必要な、すべての雑用をこなす仕事です。

前の会社で編集者として仕事をしていたとき、ひと仕事終えたタイミングで、ある著者さんからこんなフィードバックをもらいました(自慢っぽく聞こえたらごめんなさい)。「やざさんと仕事をすると、なんだかよくわからないけど、うまく表現できた感じがする。しかも楽しかった」。私は「いやいやいや」と照れながら、たいへんうれしく思いました。裏方として縁の下で実行していたさまざまな仕事が、うまく機能したことを知ったからです。編集者冥利に尽きる瞬間でした。

はてなでは、はてなのサービスにコンテンツをポストしていただく表現者のみなさまのために、編集者として、同じような仕事をしたいと思っています。つまり、「なんだかよくわからないけど、うまく表現できた感じがする。しかも楽しい」と感じてもらうために必要な雑用のすべてが、私のはてなでの仕事です。はてなスタッフのみなさまもまた、表現者です。そこでも、自分が考える編集者としての仕事をします。ブロガーさんや、ブックマーカーさん、スタッフさんといった、はてなにまつわる鋭い表現者さんたちのことが、そして、それらの表現が伝わる瞬間が、私は大好きです。

今日からはてなの縁の下

これらの仕事、あまり簡単ではなさそうです。うまくいくんだろうかという不安を毎日感じています。一方で、「意外といけるかも」という期待もあります。なにより、この挑戦はなかなか面白そうです。

不安、期待、挑戦――混ぜ具合がちょうどよいと、いい味の仕事になりますよね。そもそも、不安をもとに、すべてを疑いながらじっくり見てみないと、本当のことはなかなか見えてきません。うまく行く期待がゼロではやる気も出ないでしょう。そんな気分で挑戦してみます。挑戦するときは仲間が大事なものですが、幸いよい仲間ができそうです。

はてなで表現を試みるすべてのみなさまの裏方として、縁の下に今日から潜り込みます。どうぞよろしくお願いいたします。

日経BP社を退職しました

2010年8月31日、id:ShigeakiYazakiこと矢崎茂明は、日経BP社を退職しました。

1997年4月からの13年と少しの間、取材先さまや、著者さま、ご協業させていただいた方々、デザイン会社さま、印刷会社さま、取次さま、書店さま、上司さん同僚さん、友人のみなさまに、たいへんお世話になりました。日経BPに入社する前に想像していたよりもずっとずっと、面白い仕事ができました。ひとえにみなさまのご助力があったからです。深くお礼申し上げます。

個別にお礼をお伝えしたい方がたくさんいらっしゃいます。ここではとくに、3人の名前を挙げて、お礼をお伝えさせてください。著者の矢沢久雄さんと結城浩さん、『日経ソフトウエア』初代編集長の柳田俊彦さん――。一緒に仕事ができて幸運でした。成果につながるよい機会をいただきました。また、仕事における私の考え方の多くを知る機会もいただきました。ありがとうございました。


ご存知の通り、日本のメディアを取り巻く昨今の状況は、激しく変化しています。強風の中、風向きが素早く変わるその様子は、さながら外洋の暴風雨のようです。これから3年先、5年先を確かに見通す視力は、おそらくだれも持っていないことでしょう。編集者としての私、メディア人としての私も、回りと自分をよく見ながら、考え、話し合い、試しながら最近の日々を過ごしてきました。ここで日経BPという船を降りて、新しい船で新しい航路を進むことにしました。

引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。気楽な意見交換も、これまで同様にやりとりさせていただければ幸いです。


なお、これまで利用してきたメールアドレス yazaki at nikkeibp.co.jp はまもなく利用できなくなります。shigeaki dot yazaki at gmail dot com は、これまでと同じ頻度で読み、返事を書いています。お手数をおかけして申し訳ありませんが、矢崎への連絡がご入り用の場合は、上記GMailのアドレスまでご連絡ください。オープンな連絡で問題がなければ、Twitterの shigeaki_yazaki 宛てのmention(@shigeaki_yazaki)や、はてなidコールid:ShigeakiYazaki)などでいただけると、比較的高速に応答できると思います。

次の勤務先はすでに決まっています。間を開けず、2010年9月1日から勤務する予定です。明日、ここでお知らせさせていただければと思います。

デブサミ2009で話してきました

デブサミ2009の【13-C-7】Developers [Media] Summitで,5分LTさせていただきました。スライドはこちら。

発表したものと同内容です。適当に生成したpdfあげたらTahomaのBoldがださいことになってますが深追いしませんすいません。

動画は後日どこかにあがる(かも)。

発表裏話的ななにか

何を話すかを考える前は「お客さんが読めないー」とかTwitterでつぶやきあってました。そこ決まらないとなにも始まらないので,ひとまず同業他社狙いに絞って,スライドを作り,発表しました。やっぱりお客さんはよくわからなかった。

かなりあがりつつ,すべりつつ,でした。社内LTなどの経験・感触から,正直,ギリギリ5分完走狙いのスライドを作ったのに,ビビって9枚削って,20秒余らせたのが最大の敗因だと思います。まあ大負けではないし,一部には受けてたのでよし。done。

なので教訓としては「経験を積め,自分を信じろ」って感じです。勉強させてもらいました。あと,いろいろなかたに自分のやってることや考えを直接伝える価値は高いなーと。

ともかくお誘いいただいた岩切さん,竹迫さん,ありがとうございました。講師控室でUSBケーブルを貸してくれたakkyさんにもありがとうです。スタッフのみなさまもありがとうございました。もろもろ快適でした。

ほか会場で感じたこと

本業やら自分の発表で終始ドタバタしていて,見れたセッションはまつもとさんの一つだけでした。面白かったなー。ほかにも見たいのがいくつかあったのですが残念。自分の発表がなければってのはジレンマです。

あと,イベントってのは情熱駆動媒体だと常々思っているんですが,会場のあらゆる部分が岩切さんの情熱によって駆動されている感じがしました*1。岩切さん,たいへんお疲れ様でした。今後ともよろしくお願いいたします。

それから! オライリーさんのブースでYuguiさんの「初めてのRuby」にサインをもらいました! 自分の記事*2でも書いたように気に入っている本,その著者さんにお会いできてサインもらえるってうれしいですね。実はサイン会でサインもらったのはじめてでした*3

以上メモでした。そのうちまじめに書くかも。

*1:たぶんいいすぎ

*2:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090210/324516/

*3:仕事がら著者さんにあえる機会は多いゆえ。ずるいかもすいません

明日,デブサミ2009でしゃべります

翔泳社の岩切さんにお誘いいただきまして,明日(2009-02-13),デブサミ2009でしゃべります。【13-C-7】の「Developers [Media] Summit」です。5分LT。

http://www.seshop.com/event/dev/2009/timetable/Default.asp?mode=detail&eid=124&sid=786&tr=03_Development+Style(Special)#786

スライドは後日ここに貼り付ける予定です。まだできてません。